ラブラドール・レトリーバーの歴史

起源
ラブラドールの祖先の犬はカナダのラブラドール州の向かいの島、ニューファンドランド島にヨーロッパから渡ってきて住み着いたということがわかっています。
一方、毛の長い犬ニューファンドランドは同じ頃にラブラドール地方で誕生しました。
ラブラドールとニューファンドランドは地名にちなんだ名前で知られていますが、実際にはお互いに入れ替わった地名になってしまっています。
遺伝子構造としては大きく二つの犬種が関わっています。
主人に忠実でにおいをたどるのが得意なスパニッシュ・ブラック・ポインター
本能的に家畜の群れを誘導し、縄張り意識が強いバスク・シェパード・ドッグ
名前の由来
はじめの頃は、『セント・ジョンズ・ウォーター・ドッグ』や『セント・ジョンズ・ドッグ』、『レッサー・ニューファンドランド』『リトル・ニューファンドラー』などと呼ばれていましたが、やがてラブラドールとして知られるようになりました。
また、ラブラドールという呼び名にはポルトガルと二つの意味で関係しています。
カナダのラブラドール地方はポルトガルの冒険家、ジョアン・フェルナンデス・ラヴラドールにちなんで名付けられました。
さらにラブラドールとは、ポルトガル語や古いスペイン語で「労働者」を意味します。
ラブラドールの記録
狩猟家であるピーター・ホーカー大佐が1814年に出版した本では、ニューファンドランド島にいるラブラドールは島にもとからいたセント・ジョンズの子孫であると書いてあります。
実存するラブラドールの絵画記録
1822年、セント・ジョンズ土着のウォーター・ドッグを描いたもっとも古い絵。色はブラック。
1840年代後半、イエロのラブラドールが描かれたもっとも古い油絵。
ラブラドールという犬種が広まりをみせ、認知されるようになっていた1903年、英ケネルクラブはラブラドール・レトリーバーを犬種として認定しました。
1913年までにはラブラドールを飼う人が急増していたようです。
第2代マームズベリー伯爵とラブラドール
イギリスの第2代マームズベリー伯爵はその領地の土地柄のため、水中から物を回収する能力に長けた犬に興味を抱きました。
1809年にはマームズベリー伯爵がセント・ジョンズ犬を狩猟に使ったと記録があります。
その後、1823年に二頭のつがいを買い求め、犬舎を建て、繁殖をはじめました。
そして1841年にこの世を去るまで、ラブラドールの繁殖と独立した犬種としての確立のために尽力したといわれています。
そのためか、ラブラドールがイギリス内でもはじめて愛好された場所はマームズベリー伯爵の領地だったドーセット州だったようです。
1835年には、この犬の優秀さに気づいたスコットランドの第5代バクル-公爵と弟のジョン・スコット郷も犬舎を設立しています。
バクル-公爵所有のラブラドールの血統台帳
ロンドンの大英図書館にある『バクル-公爵所有のラブラドール血統台帳』は世界初のラブラドールの正式な記録で、その最初には、1882年誕生のネッドという犬が載っている。
『ネッド』
父犬:マームズベリー伯爵所有のスウィープ
母犬: 〃 ジュノー
次に記載されているのが1885年誕生のエイヴォンという犬です。
『エイヴォン』
父犬:マームズベリー伯爵所有のトランプ
母犬: 〃 ジュノー(ネッドと同じ母犬)
バクル-公爵所有のラブラドール血統台帳には、エイヴォンを父犬としてチョコレート色の子犬が生まれたという記述もあります。
その後1899年にイエローが誕生し、イエローのラブラドールとしてはじめて登録されました。